「最近、朝起きると手がジンジンする」 「ペットボトルの蓋が開けにくくなった」 「自転車に乗っていると指先がしびれてくる」
そんな症状を「年のせいかな?」「疲れが溜まっているだけかも」と放っておいてはいませんか?実はそのしびれ、手外科の専門的な治療が必要なサインかもしれません。
今回は、愛野記念病院の理事長であり、手外科専門医の視点から、手のしびれで最も多い原因の一つである「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」について分かりやすく解説します。
1. なぜ手がしびれるの?原因は「手首のトンネル」
私たちの手首には、正中神経(せいちゅうしんけい)という大きな神経と、指を動かす9本の筋肉の腱が通る**「手根管(しゅこんかん)」**というトンネルがあります。
このトンネルはとても狭く、何らかの原因でトンネル内の圧力が上がると、神経が圧迫されて「しびれ」や「痛み」を引き起こします。これが手根管症候群の正体です。
こんな人は要注意!
- 手をよく使う方: 仕事や趣味で手指を酷使する方。
- 更年期の女性: ホルモンバランスの変化でむくみが出やすい時期。
- 透析を受けている方や糖尿病の方: 神経が圧迫を受けやすくなります。
2. 30秒でできる!「しびれ」のセルフチェック
自分でも簡単にできるチェック法をご紹介します。ぜひ試してみてください。
① ファーレンテスト
胸の前で両手の甲を合わせ、手首を深く曲げた状態で1分間キープします。 → 1分以内にしびれが悪化したり、痛みが出たりする場合は陽性です。
② ティネルサイン
手首の手のひら側(しわの部分)を、反対の指先で軽くトントンと叩きます。 → 指先に響くようなしびれが走る場合は陽性です。
3. 「小指」がしびれていないなら、手根管の可能性大
手根管症候群の大きな特徴は、**「親指から薬指の半分まで」**がしびれることです。 不思議なことに、小指だけはしびれないのがこの病気の見分け方です。
もし「小指もしびれる」「肘まで痛い」という場合は、肘の部分で神経が圧迫されている「肘部管症候群」など、別の原因が考えられます。
4. 放置するとどうなる?「筋肉の痩せ」が危険信号
しびれを放置して悪化すると、次第に親指の付け根にあるぷっくりした筋肉(母指球筋)が痩せて、平らになってしまいます。
こうなると、
- OKサインが作れない
- 箸がうまく使えない
- 細かいボタンが留められない
といった、日常生活に支障をきたす深刻な状態になります。筋肉が完全に痩せてしまうと、手術をしても回復に時間がかかるため、「しびれ」の段階で受診することが非常に重要です。
5. 当院での治療について
愛野記念病院では、患者様のライフスタイルに合わせた治療を提案しています。
- 保存療法: 夜間に手首を固定する装具(スプリント)の使用や、ビタミン剤の服用、ステロイド注射などで炎症を抑えます。
- 手術療法: 症状が強い場合や、筋肉の痩せが見られる場合は、圧迫されている神経を解放する手術を行います。
「手術は怖い」と思われるかもしれませんが、当院では低侵襲(体に負担の少ない)な治療を心がけており、短時間での処置が可能です。
最後に:手は「第二の脳」です
手は一生使い続ける大切な道具であり、感覚を司る「第二の脳」とも呼ばれます。 「これくらいで病院に行っていいのかな?」と迷う必要はありません。早期に適切な診断を受けることが、お気に入りの趣味や家事を長く続ける秘訣です。
少しでも手に違和感があれば、ぜひお気軽に当院の手外科外来へご相談ください。

